猫の乳癌に対する抗がん剤の効果
2023/01/23
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猫の乳腺癌の胸腔内転移に対して パラディア錠(トセラニブ)の効果が認められた可能性がありました。
乳腺癌の猫ちゃんなのですが、5ヶ月前に左第3乳腺に癌が認められ、左側乳腺を全て 取り除きました。
しかし、2ヶ月後には 再発が認められましたが、17歳という高齢と 皮下組織に固着していたため、摘出はせず、ドキソルビシンという血管から投与する抗がん剤を3週間ごとに行いました。
数ヶ月すると 腫瘍が認められなくなりましたが、ドキソルビシンの副作用として 猫ちゃんでは 腎機能障害と心筋障害があります。 この猫ちゃんは 慢性腎臓病も 肥大型心筋症もあるため、5回投与して 終了となりました。
今月 初旬に来院され、腹部を診ると、乳癌の再発と胸膜転移による胸水貯留が認められました。 食欲もあるという事で、胸水の除去を行わず、ステロイド剤で様子をみることに。
しかし、翌週には 胸水の貯留が増加しており、パラディアという抗がん剤を経口投与することにしました。食欲もあるため 今回も胸水除去は 行わず。
パラディアは 犬の皮膚肥満細胞腫に対して 認可された抗がん剤ですが、他の腫瘍に対しても 効果があるという話があるため、適用外使用ですが、飲ませてみました。
1枚目の写真は パラディアを飲ませて 1週間後の胸部のレントゲンですが、2枚目の胸部レントゲンに比べて 明らかに胸水の貯留量が減少しています。胸膜転移の病変部も綺麗になっている感じになっています。