アナフィラキシー

2023/10/26 ブログ

10月初旬にアナフィラキシーのわんちゃんが来院したので、その子のお話です。

 

アナフィラキシーとは、IgEを介したI型アレルギー反応(即時型過敏性反応)をアナフィラキシー反応と呼び、アレルゲンなどが体内に入ることによって、複数の臓器や全身にアレルギー症状があらわれ、命の危険が生じ得る過敏な反応のことで、その中でも、血圧低下、意識レベルの低下、失神を伴うなど、重症の場合をアナフィラキシーショックと呼び、迅速な治療を施さなければ命を落とすこともある病態です。

 

また、IgEを介さず、アレルギー反応と同様な症状を呈する反応をアナフィラキシー様反応と呼びますが、臨床的な対応は同じであるため、両者を含めて、アナフィラキシーとしています。 

 

アレルギー(過敏反応)は、そのメカニズムによって4つの型に分類されており、Ⅰ型は即時型・アナフィラキシー型、Ⅱ型は細胞障害型、Ⅲ型は免疫複合体型、Ⅳ型は遅延型として知られています。

 

アナフィラキシーのわんちゃんは 今朝から 嘔吐と下痢があり、いつもより元気がないということで、来院されました。

 

血液検査をしたところ、肝酵素の上昇(GPT/ALT 2864U/l、GOT/AST 1785U/l)が認められ、何か中毒性の物でも 食べたかも?と疑いました。

 

肝酵素が 正常値の上限の30倍も高かったので、念のため、肝臓のエコー検査を行いました。 写真は胆嚢のエコー写真なのですが、胆嚢壁が高エコーの線でふちどられるハローサインが認められました。ハローサインは、胆嚢壁の浮腫で 胆嚢浮腫を起こす原因として、アナフィラキシー、心タンポナーゼ、門脈高血圧、低アルブミン血症、肝臓リンパ腫があります。心エコーをしたところ、心タンポナーゼはなかったので、アレルギーの治療を行いました。

 

アナフィラキシー症例の93%に胆嚢壁の浮腫が認められたといわれており、また、肝酵素は85%で上昇すると言われています。

 アナフィラキシー反応の臨床徴候は肥満細胞の分布と関係しているといわれており、犬では、肝臓と消化管に肥満細胞が多く存在し、アナフィラキシーを呈した犬では、消化器徴候や 肝酵素の上昇、胆嚢壁の浮腫が認めらることが 多い。

比較的若い犬に多くみられ、原因が不明48%、昆虫類47%、薬剤4% 。症状は 消化器症状 皮膚症状が多く、循環器、呼吸器、神経症状などの症状も認められることもあります。

本症例は 稟告が 消化器症状の来院で、まさか アナフィラキシー症例とは思いもしませんでした。血液検査をしておいて ほんと良かった症状です。そして 腹部エコーも。