ヘモプラズマ症

2023/11/09 ブログ

 ヘモプラズマに感染した猫ちゃんの お話になります。

 

ヘモプラズマ症は ヘモプラズマが猫の赤血球表面に感染し、溶血性貧血が引き起こされる疾患で、ヘモプラズマは細胞壁のない保護膜に包まれたグラム陰性細菌です。

急性期では、元気消失、食欲不振、沈鬱などの症状に加え、貧血、黄疸、発熱、可視粘膜蒼白、脱水、脾腫、呼吸促迫といった溶血性貧血に関連した症状が見られます。

 

 1週間前に熱(飼い主さん曰く)があり、4日前に 他の動物病院で皮下補液と抗生剤の治療をされ、翌日、外出し、帰って来なかったとのこと。

朝、近所で倒れてたため、来院されたとのこと。

最初 見た時、もう亡くなってるかと思えるぐらい、グッタリしていて、目を触ると、反応するぐらい。体温測定不能。血液検査をしたところ、赤血球数71万/μℓ(正常値550〜850万/μℓ) Hct5.3%(正常値37〜55%)と重度の貧血を呈しており、腹腔内出血を疑い、レントゲン撮影をしましたが、問題なく、猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルス 共に、陰性でした。

血液塗沫にて、ヘモプラズマが認められました。写真が血液塗沫標本で 丸い赤い赤血球表面の紫色の点状物がヘモプラズマになります。

診察時に血管点滴と保温をしており、このまま 入院するのか 相談しましたが、入院中 亡くなる可能性が高いということで ヘモプラズマ対策の抗生剤と、診察時が 日曜日であったため、午前診療終了間際まで、点滴をして、おうちで様子をみてもらうことに。

 

翌朝 電話にて、少し食べ、頑張ってるとの連絡をもらい、初日と同じように、点滴を今回は夜まで やりましょうと 来院してもらいました。

血液検査にて、赤血球数188万/μℓ Hct13.3%と上昇していました。体温も33.5度とまだまだ 低体温でしたが、測定は出来ました。しかし、TBIL (黄疸指数)が3.8mg/dl から、6.5mg/dlと上昇していました。 

 

溶血性貧血による黄疸の場合、5mg/dl以上になることは まず ありえないため、不思議に思い、初日に問題がなかった肝酵素を もう一度 測定してみました。そうしたところ、やはり 肝酵素値が 測定不能ほど 上昇していました。血液循環不全による低酸素が原因かと考えられ、日帰りではなく、入院とさせていただきました。

初診日から 15日目には もうすっかり 貧血や黄疸が改善され、元気にしています。

 

もともと 猫ちゃんって 病気に強いイメージがありますが、ここまで 頑張ってくれるとは 思いませんでした。嬉しいかぎりです